【ドラマ】「弟の夫」をみた
2018年の3月にNHKBSプレミアムの「プレミアムドラマ」枠で放送された「弟の夫」がGWに地上波で一挙放送されたので録画してあった。
思うことあり、中学生の息子ともできれば一緒にみたいと考えていたら、見るのがすっかり遅くなってしまった。そんなわけで、ようやく全3話を見終えたのでつたない感想でも書いてみようと思う。
世は空前のLGBTブーム。このようなことをブームにしてしまうのはどうなのか?と、いささか思うことはあるが、知らないよりは知っているほうがいい。「みんなちがってみんないい」という、私が敬愛する「金子みすゞ」さんの詩のとおりに生きるためには知ることは必要。
もちろん、見ようと思ったのはそれだけではない。とにかく評判が良かったので、どうしても見たかった。
残念なことに我が家はBSが見られない環境で、よく悔しい思いをする。それというのもここ数年のNHKのドラマ制作は熱いからだ。それもBSの方が断然熱い。
評判の良さを耳にして「なぜ我が家はBSが映らない!」とほぞを噛む思いをしていたわけだ。
今回も熱い、静かに熱いドラマで大満足だった。
「弟の夫」は2014年に双葉社の「月刊アクション」で連載されていた田亀源五郎さんの漫画を元にした同名のドラマだ。
異国の地で亡くなった双子の弟の夫がある日突然目の前に現れた。
それはまるでクマのような大きな大きな体をした青い瞳の男性だった。
マイクと名乗る弟の夫だった男性と、亡くなった弟の兄となる「弥一」、そしてその娘「夏菜」との数日間の同居生活がただ静かにつづられる物語。
少々過剰な演出などでゲイの人に対する差別的なシーンもあり、お約束通りな展開も多々登場する。ゲイをカミングアウトすることができず悩んでいた少年、過去に弟である「涼二」に思いを寄せていた同級生の男性。
登場人物も、この手の物語を進めるには鉄板な面々ばかり。それぞれのキャストに違和感がなかったところも、静かに見続けることができた要因ではないだろうか。
全てにおいてありがちだけれど、そこには何の問題もない。それがこのドラマの良さだったのではないかと思う。奇抜な表現や混乱、いさかいなどは物語を進めるうえでは必要ない。
大切なことが何かをゆっくりと見つけていく物語だったと見終えた今考える。
LGBTでもそうでなくても、誰かを大切に思う気持ちは同じで、受け入れるも受け入れないも自由で。受け入れれたらいいのにと思い悩むことも自由。すべてにおいて自由。
主人公「弥一」の娘である小学生の「夏菜」の存在は、そうなれたらいいのにと思う大人の良心なんだなと。しかしそれは偽善かもしれない。そうなれるかどうかなど分からない。だからこそ、「弥一」の心の機微にこちらも揺り動かされる。
だからといって、私が「弥一」の気持ちをすべて理解できるわけではない。彼には亡くなった弟の存在があるわけで、私にはそれが無い。だけど、最後には共鳴して震える感情が胸に残る。
ドラマの中では最後にマイクの家族も日本にやってきて、みんな家族であるという象徴的な幸せなシーンで幕が下りる。このシーンは必要だったのかなとは思うが、分かりやすさはこのドラマの魅力なのかもしれない。
難しく考える必要はない。
シンプルだからこそ、すんなりと受け入れることができる。
そんなドラマだったな。